「お前らの作品は所詮コピーだ」――富野由悠季さん、プロ論を語る (1/5) - ITmedia News

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まわりの1万人をぶっ倒す。それぐらい力のある、それこそ“コンテンツ”を作るにはどうしたらいいかというと、いやぁ、コツコツやるしかないですよ。それだけ。おしまいです。


 手塚治虫先生もそうだったと思うんですが、人一倍寝ないで人一倍ペンを動かす。なぜ腱鞘炎にならないか謎でした。5時間寝たら寝過ぎという体になっちゃっていました。それくらい働いていたというだけ。基本的に体力勝負なんです。

みんな「私が好きなものは固有なもの」と言うかもしれない。確かにそうだが、重要なのはそれがビジネスになるかどうか、お金もうけの原資になるかどうかを考えなきゃいけない。そういう機能を持ったキャラクターや作品はどういったものかというと、基本的にはそれは、よくできたものでしかない。


僕の作品の場合は半分以上はまぐれあたりだと思う。問題は、まぐれ当たりが当たった時にどう続けるかということが、そこで本当のビジネスになってくる。死に物狂いでを前のコピーをえんえんとやっていくわけです。

そこでもう1つ重要なモーメントは、他人のコピーになってしまうかどうかは、その人が本性的にもってる指向性や方向性に合致しているかしていないかです。11、12歳ぐらいまでにあなたが好きだったものにこだわれ、ということです。その延長線上にあるものと今やってる仕事がフィットするとかなりいい所に行くだろうと言えます。


自分が子どものころにこだわっていたある方向性、指向性、目指すべきものです。重要なのは目指すべきもの。あの時ぼくは昆虫が好きだったが、解剖とか分類とか全部正確にやりたいんだけどできなかった。そういう方向性と、18歳までに身につけた技術論がドッキングするようなものを見つける必要があるんじゃないか。

自分は中学1、2年生まで宇宙旅行が本当に好きで、宇宙旅行の研究しかしなかったんです。それは自分の趣味だから、軽くおいていたんです。


(中略)


 でもこんなことを小学校の5、6年から中1、中2の時にやってて、そりゃ高校受験にも落ちるよね、というぐらいやってたらしいです。好きってのはそういうものなんです。「ちょっと好き」は認めません。

自分の欲望を素直に見つめないで、迂回路をとってきれいなもの、かわいいだけのものを触っていたらクリエイティブは完成しないんです。生身が匂わなければ、臭くなければ絶対に客は付かないんですよ。

一番目指さなくちゃいけないのは、34〜35までに、40になってもいいと思うけど、パートナーを見つけるべきだということです。もっと重要なのは、その人とキャッチボールができるフィールドを手に入れていくこと。


 ビジネスを大きくしたいなら、そこで必要なのはチームワーク。悔しいけど相手の技量を認めるということです。

めでたさを自分のために手に入れるにはどうすればいいか。宮崎駿さんがある講演会で言っていた、同じことを言わせてもらいます。「自分が手の届く範囲のことを一生懸命やることが一番の宝だ」というのは本当だと思います。年寄りの忠告になるんですけど、それを信じてやってほしい。どういうことかというと、男の人に特に言うが、エロサイト見てる暇あったら自分の技量を磨け

単一色で攻めた時はマニアに好かれるものは作れるかもしれないが、ジブリがやっているように、異能の組み合わせが当然大事なこと。ハーフのほうが美人じゃん、と。全部が全部そうじゃないですよ。

高みも知る必要もあるんだけれど、一番最低限の技術論を知る必要がある。異能のもう1つの別の言い方は、志を高く持てと。自分は今ここにしかいない。残りのリーチをなんとしてもはい上ってみせるという覚悟が必要。覚悟というのは気合いではなく、毎日毎日階段を上っていくという作業でしかない。これが原理原則です。